「きいろ」作品 ‐ 日下加菜
今回の2点はどちらも菜の花をモチーフとし、母方の祖母を思いながら描きました。私の母方の祖母は数年前に認知症と診断され、今は施設で暮らしています。認知症になる以前の祖母は教職に就き、多くの人から慕われていたとよく言われました。ですが、認知症になってからは段々と理性が崩れ、祖母の心の形は不安定になってしまいました。
悲しいけれど今の祖母はもう私のことは覚えていません。私の名前が決まった時に名前から菜の花俳句を書いてくれた事も、私の顔も、菜の花を見て私を思い出す事も二度とないのです。そんな祖母に忘れられた寂しさと、虚しさ、憤りや様々な感情 が入り混じった「忘れてほしくない」という気持ちを菜の花をモチーフとして2点に込めました。
日下加菜